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CAAK & Kapo Creator in Residenceの参加アーティストのRohan Hutchinsonさんによるレクチャー&パーティーを開催しました。
写真で作品を制作しているRohanさんのこれまでの作品や、コンセプトについて話してくださいました。
金沢での滞在中は街中を大判のカメラで撮影をして作品制作をする予定です。
金沢の街で見つけることができる「表層」は様々な層が重なった階層として存在していると考え、それぞれの層について作品制作を通じてリサーチするそうです。その階層には「時代(時間)」「経済」的なものも含まれるということでした。建築にもとても関心があるようでした。
参加者は金沢在住のアーティストがほとんどでしたので、パーティーでは作品を紹介し合う交流の場となりました。
(MS)
それと吉村さんのところへこの夏ODで来ている金岡くんとで、
長野県塩尻市にある「えんぱーく」の建築見学会に参加してきました。
鷲田さん、林野さんは愛知経由での長野入りで、行きは吉村さんの車に5人乗りで行きました。
朝7:30に寺町の町屋集合で、なんの問題もなく出発しました。
が、5分程走ったところで突然野田さんが「あっ!!」と一声・・・
鷲田さん、林野さんに渡すものを玄関先に忘れてきて取りに戻ることに・・・
そんなちょっとしたトラブルもありながら、高速に乗り4時間かけて無事塩尻市に着きました。
「えんぱーく」近くのTom's Cafeで昼食をとった後、14:00から見学会が始まりました。
設計者の柳澤さんに案内して頂きながら、1階から順に見て回りました。
一階は主に図書館になっており、その他に、小さなshopと子育て支援の機能が入っています。
図書館と子育て支援とでは管轄が違い(文科省と厚労省?)、
平面計画の上でも、「こっちの面積をもっと増やせ!」などの話し合いがあったとか・・・。
実際には時間帯により、相互に使える空間とすることで良い関係を築いているようでした。
二階は図書機能の一部と、会議室が入っています。
注目するべきところは、フリーコミュニティーと呼ばれている場所です。
ここではインキュベーションリーダーの育成をやっています。
「えんぱークラブ」と命名しており、ソフトを支える市民団体のことです。
これは企画の段階から進めてきたものだそうです。
塩尻市の場合地域活性化事業の一環として今回図書館を計画しました。
人口6万人に対してとても立派な建物で、
初めは市民から「図書館は郊外に建てろ」という動きが強かったそうですが、
「えんぱークラブ」のようなものを作ることで、
市民に受け入れられる良い建築を作れたと思います。
柳澤さんいわく、今では予想以上の人が利用してくださっているそうです。
この建物はt=200のコンクリートとt=6の鉄板を合わせた壁柱で1~3階は立っています。
その上にt=400のヴォイドスラブが乗り、4,5階は鉄骨造となっています。
地下階には免震装置が入っており、見学できるようになっていました。
(いつ行ってもみれるわけではないようです。)
三階は壁柱によって空間が緩やかに分節されており、
それでいて一体感がありました。
この良さは写真や言葉で説明することは難しいので、
実際に行ってみることをお勧めします。
四、五階はまだ完成していませんでしたが、オフィスが入ることになっています。
その部分が完成したのち、下のパブリックな部分とどう関係が持てるのかが楽しみです。
見学が終わった後、レクチャーがあり、多くの事をお話しいただきました。
18:00頃にすべてのプログラムが終わり、帰りも高速で4時間かけて金沢まで。
吉村さん一日で往復8時間以上の運転ご苦労さまでした。
そしてありがとうございました。
(T.I)
記録的猛暑の七月が終わろうとする晩。
日が沈んでも一向に気温は下がらず、聴衆でぎっしり詰まった畳の上を首の廻らない扇風機が温い空気をかきまぜるなか、レクチャーは始まりました。
「ばらばらなものがいっしょにいる
いっしょにいるはずがばらばらだ」
まず、多元的であること、というレクチャーのテーマが、ひらがなに置き換えられて画面に示されます。
ぐっとイメージが広がったものの、まだまだ長田さんの真意がつかめません。
それは、アンリ・マティスのロザリオ教会や、彫刻家ジョン・チェンバレンの作品を辿りながら、徐々に明らかにされました。
マティスが壁画を描くのに用いた長い筆。
新しい表現に求められる、新しい手法。その手法を探るやり方は、まさに建築とパラレルであると長田さんは言います。
また、チェンバレンの作品に織り込まれている「時間」の存在について。潰された自動車が鑑賞者の視線に出会ったとき、そこには過去の姿がバラバラに想起されるのです。
2009年、石川県能美市に竣工した「Yo」は、そのような長田さんの関心が現れています。
斜面を含んだ700平米敷地にそっと置かれたこの平屋の住宅は、一つ一つのセルが独立しつつも、同時にゆるやかにつながるような空間が出現しています。
「多元的」であることは、更に外部と内部の関係にも求められました。
施主である吉田さんは金属加工会社を経営されており、外部の風景を映し出すステンレスのパンチングメタルは、施主施工の形で実現されたそうです。
このパンチングメタルによってもたらされる、季節ごと・時間ごとに異なる風景、3度という絶妙な角度をもって構成された方形のボリューム、そしてその中を歩き回る人間。
これらの要素が織り交ぜられて、バラバラなように見えるセル同士の関係が、一瞬ごとに出来上がり、変化し、全体としての建物の印象をゆるやかに形作ります。
複数の共存しえないものが、同一性による担保に寄ることなしに、同時に成り立つこと、ひいてはそのような空間。
それは価値観が多様化し、皆がある意味での不自由さをかかえて暮らす現代の社会で、どうすれば互いに共存してゆけるのかという問いを、建築に置き換えた模索でもあったのです。
複雑なありようを明快に説く長田さんのレクチャーは、とても小気味よく、「多元的であること」というテーマは、単に建築という領域にとどまらない、広い社会に対峙しての構えであることに感銘を受けました。
また、「Yo」を見学させていただいた時に感じた、回遊している内部を歩き回るごとに、空間の印象がつぎつぎと折り重なっていくような感覚の理由がわかり、なるほどという思いでした。
(り)
2010.7.29〜8.1 かなざわ燈涼会 CAAK参加展示。 尾張町の町家「楳荘」を会場に、アーティスト岩崎貴宏氏を招待。蚊帳や布団、床の間を使って、ぽつぽつ鉄塔がたつ山並みの風景や、工事現場、山岳など小さな風景たちが町家に出現する。
《アウト・オブ・ディスオーダー(布団)》(部分)
《アンダー・コンストラクション(蚊帳)》(仮称、部分)
楳荘の軸と岩崎貴宏《アウト・オブ・ディスオーダー(雑巾)》
《アウト・オブ・ディスオーダー(雑巾)》
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「かなざわ燈涼会」参加企画
岩崎貴宏展
【会期】2010年7月29日(木)~8月1日(日)
【開場時間】11:00~21:00(最終日のみ17:00まで)
【会場】楳荘(金沢市尾張町2丁目9-10)
【主催】社団法人金沢青年会議所
【楳荘会場企画】CAAK, Center for Art & Architecture, Kanazawa
【入場料】無料
【出品作家】岩崎貴宏
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